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2010年1月23日 (土)

E5 第1回フォーラム「未来を作る教育のあり方」から繋がった今後の検討課題

 あらためまして、スタッフの近藤大介です。 第1回フォーラム「未来を作る教育のあり方」への多数のご参加厚く御礼申し上げるとともに、加えたらいいなと思える論点を、私なりに整理いたします。

 上記リンクのイベントレポートとの重複を恐れず、基調講演・ファシリテータの寺脇氏、4人のパネリストと、会場からの質問をもとに方向性をまとめていきます。

基調講演・ファシリテータ
寺脇研氏(京都造形芸術大学教授 私塾「カタリバ大学」学長)

 1.個々の学習が重要。「教える人、教わる人」ではなく、教える際にも学びがあるという事実。
 2.
生涯学習へ。常に学びは続く。働くのは自分のためであり、人のため。
 3.各人の要望に応じた様々な形の教育プランに答えるのが望ましい。
 4.他人の子どもであっても、関わっていくこと。
 5.「利他」という言葉を使わなくとも、
公共心が当然となる発想へ。4、50年前にはあったような。( 利他精神を学ぶのはどこか?の質問に対して)

澤田晃宏氏(高校中退、フリーライター)
 1.高校では職業人を養えない。→「魔女の宅急便」の世界、いったん自立を。
 2.社会ではまず知恵と常識→ライターの立場と自らの興味で、様々な情報に近づく。
 3.目先にも学びが→ミネラルウォーターのある銘柄に330mlがあると知るのも気づき。

黒沢一樹氏(高校中退、NPO法人若者就職支援協会理事長)
 1.働き手となれば、相手になりきって望むことを考えられる。
 2.
働きの場以外にも学びが。→会社員でNPO理事長を兼任。複数の目線を。
 3.身近な家族とのやり取りも経験の一歩

小野美由紀氏(慶応義塾大6年 道塾スタッフ)
 1.苦悩を家族にさえ語らない高校生→別のコミュニティ・外の学びの場を
 2.意味目的がわからずとも、やる価値がある。→なぜカタリバ、道塾に関わるのか。
 
3.「確率変動」の期待も、大学に入る目的だ。(大学に入る目的は?の質問に対して)

古田雄一氏 (東京大3年 「わかもの科」プロジェクト代表)
 1.正解のない話題を学びあったり、情報を共有すること(カンニング否定だけでは)。
 2.次世代の若者(高校生ほか)に、経験することの重要性を伝えていきたい。
 3.自らの理想とする教育を、若いうちから考えていく。

 色々と、ご指摘をお待ちしているが、ざっとこんなところだろうか。

 青色の太字にしたのは、特に教育環境の苦悩を表していると思われる。
 2030ビジョンにおける元々の狙いとして、高校以上に行かなかった場合と大学まで行った場合の比較で、教育自体を相対的に見ようとの軸を持っていた。が、意外にも共通したのが、高校時代の3年間が与える矛盾点だ。

 早くに職業人を目指したお二人はもちろん、現役大学生である小野氏は道塾の経験を通じて「大学生に比して、高校生が得られる情報量は所属校や地域に縛られてしまう現状」を挙げられた。同じく大学生、古田氏の事業である”わかもの科”はまさに「高校生に社会を考える機会を」であり、高校生活から時間の経っていない彼らが、不足していたピースを自ら補おうとする試みである。

 さらに言えば、教育機関が生涯学習を分断している実情が、5名の方々と参加者各位のやり取りからだけで、十分に浮き上がってきている。1人の参加者は浪人を続けている自分に悩み、「ある学校を目指すだけでいいのか」と素直な質問をぶつけ、みごとに学歴不要論(澤田氏)と大学確変期待論(小野氏)という両視点を得るにいたった。

 また、寺脇氏のお話によると、小中大と変化が見られる中、高校普通科の進学志向は依然として強く、大学の予備校化が進んでいるという。特に、地域の看板を背負わされる県立トップ高で顕著らしい。
 反面、高校の設備システム科出身者が、阪神大震災のインフラ復旧に役立った事例も挙げられ、若い時代の知識が地道な職業に生かされ続ける好例も挙げられた。農工商・医療福祉など、職業訓練課程における社会責任感覚は見習うものがあるかと思われる。

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 以上を踏まえて、2030ビジョンにおけるこれまでの議論に加えると、より面白くなるであろう論点は…

 1.社会人・職業人への導入部の充実
 →この職業に就く、こんな大人になるには、どのような学習をすればよいか。
 各地の高等学校で、将来の夢を語ってからそれぞれの学習を始めた高校生たちの成績が良いとの実例が挙がっている。

 2.相互学習機会の確保
  所属地域や団体・年齢をも度外視した、ナナメ関係の語り合い。他者の経験=歴史を共有して視野を広める狙い。
  2030ビジョンじたいも機会の一つ。朝日新聞・山田厚史氏のご講評にもあったように、一直線に生きた人よりも回り道をして他の道草を知っている人物のほうが面白い。

 3.職業教育の重視
  意識変化を促したい。大学の職業訓練課程を経て、国家資格による職業に就く友人を参加者として招いてみた所、高校時代に比べて急な目的意識や倫理観の引き上げで、かなりのパワーを要したそうだ。資格取得後、実務に就く段階でも同じようにパワーを要するという。これは、普通科を中心とする高校なり中学が、一般的?な進学に目線を奪われすぎたがあまり、雇用の現場、すなわち職業人たちから遠ざけてきた結果ではないかと思われる。
 ただ、苦しいことに、いわゆる特殊技能を要する職業人は、言葉少なである場合が多く、2.の機会に出てきづらい状況がある。各種学校・民間に関わらず、その壁を1人でも多くが取り払うことで、心情的なものを含めた職業差別の撤廃、労働流動性の促進にも繋がるだろう。

 高校生を中心として見られる苦悩からひも解いた、老若男女いずれにも役立つであろう要素をピックアップしてみた。これまでの知識型教育に、さらにこれらの学習機会や視点を加えてみれば、より人々の生活は充実するのではないだろうか。

 なにとぞ、ご意見と今後の参加をお待ち申し上げます。

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